覚悟を決めて
人と別れるのが怖いのかもしれない。
死別と比較してはならないと思うが、人の死、同居の祖父母と母の死別には計り知れない悲しみがあった。
離婚、こちらは別の感覚の悲しみがあった。
「泣いていいのは人が死んだ時だけだ。」
そのような環境で育った。
だが、離婚の最中、私は泣いていた。
あるいは何もできない自身の無力さに。
離婚以来、考え方が少し変わった。
死別もどうにもできないが、生きている人間との別れも怖くなった。
何にしても退職など今までに比べれば大したことのないこと。
新卒だった頃の私は、昔の悲しみから比較すれば退職などかすり傷程度でしかなく、合う会社が見つかるまで転職を繰り返していた。
短い間ではあったが、良くしてくれた人たち、失う、もう会えなくなるのが怖い。
枯れ、涙も出ない悲しみを抱きながら、退職願を出すのだろう。